Q&A バルブ編

Q2

管路の健全性診断はどのようにするのですか?

A  管路の健全性診断は以下のように行います。

 圧送管路は、通常満流状態になり、管路の大部分の箇所では硫化水素に起因する腐食は起らない。しかし、図2.16のような管路形状の場合、圧送管路となるのはH1部分のみで、動水こう配線より高い所に位置した下りこう配となるH2部分は自然流下状態となる。管路内に気相部があると、そこで流下水素ガスとして放散され、Uの3.1項で示したような硫化水素腐食圧送管路でも起る可能性がある。圧送管路の維持管理を効率的に行うためには、こうした硫化水素腐食の可能性が高い箇所を絞り込み、腐食の有無を確認した上で、劣化区間に限定して対策を講じるべきである。
 以下に、劣化区間を特定するための具体的な手順と内容を記すが、図2.17に示すように診断の手順は4段階に区分される。


図 空気弁構造比較図

図2.16 部分的に自然流下状態となる管路横断例




図 空気弁構造比較図

図2.17 管路の診断手順



(1)図面での自然流下区間の特定 
 管路縦断図と送水量のデータをもとに管路内が自然流下となる区間(硫化水素存在区間)を推定する。判断基準としては、以下の3つの条件を全て満たす区間となる。
@管路レベルが動水こう配線のレベルより上にある下りこう配区間
A管路こう配(下りこう配の傾き)が動水こう配より大きい区間
B上記の@、Aに該当し、さらに下流側により高いレベルの管路が存在していない区間

(2)管路内の圧力測定
 自然流下と推定された区間の管路内圧力を測定することにより、自然流下かどうかの確認や自由水面の位置の推定が可能となる。管路内圧力が、常時ほぼ大気圧または負圧となる区間は、常に自然流下となっていると判断され、図面で自然流下区間と推定された区間をさらに絞り込むことが可能となる。なお、管路内圧力の測定は、通常は空気弁などを利用して行えば簡便である。

(3)超音波による管外面からの診断
 前段までの検討結果により管路内の自然流下区間(=硫化水素存在区間)が特定されたことになるが、そこで必ず硫化水素腐食が発生するわけではない。例えば、多量の硫化水素が発生し、管路が劣化した区間でも、エポキシ樹脂粉体塗装されたダクタイル管やタールエポキシ樹脂塗装の鋼管には全く異常が発生していなかった事例もあり、管材自体の耐食性が大いに影響する。そのため、管内面を観察し確認することが望ましいが、管内TVカメラや直接目視のいずれにしても送水停止や排水などの大掛かりな作業が必要である。そこで管外面から超音波を用いて内面の腐食の有無を判断すれば、送水を中断する必要が無く、簡便で経済的である。
 超音波による診断は、被測定素材中を伝播する超音波の境界面での反射を利用したものである。超音波の伝播・反射を利用して通常は厚さの測定や内部の探傷が行われるが、超音波の伝播方向と境界面との角度によって反射波の強弱が生じる。伝播方向に対し境界面が垂直な場合には大きな反射波が得られるが、境界面が傾いている場合は反射波が小さくなる。同様に腐食が生じた凹凸の境界面では反射波が散乱する。実際に超音波の反射波を観察すると、図2.18に示すように内面状況によって波形に差異が生じ、その特徴から内面腐食の有無が判断可能となる。
 この超音波による診断方法は以下の場合に適用できる。
 ・均質な材質であれば、管の材質を問わない。
 ・管路内流体の有無、種類を問わない。


図 空気弁構造比較図

図2.18 境界面の差異による超音波の反射波形





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